[]安野光雅

725f76d0.jpg 画家の安野光雅。昆虫好きでも知られ、NHKの番組に「ファーブル昆虫記」について彼が語る番組が放映されたこともある。1926年生まれ。装幀家、絵本作家として知られる。島根県鹿足郡津和野町出身だが、今は東京都小金井市在住。先月1ヶ月間、日経新聞の「私の履歴書」にこれまでの半生を執筆していた。



 子供の頃から画家の夢を抱いてきたが、美術のみならず、広く科学・数学・文学などの教養を身につけ、小学校の教師となった。山口師範学校(現・山口大学教育学部)研究科を修了して戦後の混乱期、1949年(昭和24年)に美術教員として上京し、およそ10年間に渡って三鷹市三鷹市立第五小学校や井の頭公園近くにある私立の明星学園、また、武蔵野市吉祥寺北町武蔵野市立第四小学校で教師を勤めた。第四小学校教師時代には小学校のすぐ近くに今も暮らす藤原正彦御茶ノ水女子大教授。作家、新田次郎の息子)を教えたこともあると先月の自伝記事にあった。



 在学中から玉川学園出版部で本の装幀、イラストなどを手がけ、明星学園・国語部、教育科学研究会・国語部会などによる日本語指導(言語の教育)のテキスト『にっぽんご』シリーズの装幀も手がけたことがある。美術教師としては異例のことである。森鴎外の翻訳『即興詩人』(アンデルセン原作)の熱心なファンとしても知られ、舞台となったイタリアの紀行文『繪本即興詩人』を発表している。明星学園の小学校教諭時代の教え子に筑摩書房取締役の編集者・松田哲夫がいる。このつながりで同社の多数の本の装丁も手がけた。



 35歳で教師を辞して絵描きとして自立。1968年(昭和43年)、42歳の時に刊行された最初の絵本『ふしぎなえ』(福音館書店)で絵本作家としてデビュー。この本は、1961年にフランスを旅したときに目にしたエッシャーの絵に大きな影響を受け不可能図形の不思議な世界を描き、世界中で評判となった代表作である。エッシャーからの影響についてはエッセイ「「ふしぎなえ」について」で自ら「エッシャーの作品に魅せられて呪いにかかった」と述べている。

 

 豊かな知識と想像力を駆使して独創性あふれる作品を発表してきた。原色や派手な色をほとんど使わない淡い色調の水彩画で、細部まで書き込まれながらも落ち着いた雰囲気の絵を描く。2001年春に、故郷である津和野町に作品を収めた「安野光雅美術館」が開館し、これらの作品が展示されている。



 著書:

 

 『ふしぎなえ』、『繪本平家物語』、『天動説の絵本』、『空想の絵本』、『ABCの本』、『旅の絵本』、『算私語録』、『空想工房』、『空想書房』、『わが友 石頭計算機』など。

安野光雅の世界―1974→2001 (別冊太陽)安野光雅の世界―1974→2001 (別冊太陽)
著者:安野 光雅
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著者:安野 光雅
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