[]能楽師 青木親子

 華やかな歌舞伎の世界と比較して、同じ日本の伝統芸能である能、狂言はなかなか地味であまり日が当たらない世界。最も狂言は庶民的で笑いをとれる芸能であるため、一定の人気があり、関東の野村萬斎、関西の茂山家一門など興行的にもうまくいっているところが数多くある。しかるに能は、そもそも日本語として理解することが一般人には難解でもあり、物語性も笑いをとるものではない。伝統的な様式美や舞の格式はあるが、取っつきにくいことこの上ない。したがって、興行的にはかなり苦しく、音楽部門の邦楽も含めて非常に苦戦しているのが実際である。



 ここ、吉祥寺には地道に稽古に精進し、伝統の技を継承している能楽師親子が暮らしている。父、青木一郎、息子、青木健一の二人。私も能楽塾で直接お目に掛かったことがある。



 息子の健一さんはまだ三十歳前の若手。東京芸術大を卒業後、能楽師として研鑽を積んでいる。まだ、父、一郎の水準には及ばないものの期待の若手としてまじめな努力を積んでいる。



 最近、この青木親子が吉祥寺で能楽塾を定期的に行い始めた。実際に能をお客さんの前で舞うのではなく、能の舞台を録画したビデオを流しながら、ここはこういうことをやっている、こういうことを言っている、こういう意味がある、ここが見所だ、といった細かい点をビデオを止めながら解説していくもの。時に折に触れ、簡単な舞の型をその場で見せながら親子でやっている。主に解説を担当するのは息子の健一さん。父、一郎さんが横で適宜、扇子を右手に型をとりながら模範を見せ、それを繰り返しながらビデオを進めていく。



 台詞の言葉とその翻訳語が書かれた簡単な小冊子つきで1回、1000円。地道な活動が実を結び、最近は御殿山コミュニティセンターや東町コミュニティセンターなどやや大きな部屋を借りて能楽塾を行うようになってきた。以前は、自宅の稽古場をそのまま会場に用いていた。



 最近、月に二回、木曜の午後3時半から4時半まで、市内各地のコミュニティセンターなどにおいて、一郎氏による「観世流謡曲に親しむ会」が行われている。月謝は月額3000円。今後の予定は、8月2日、30日、9月6日、27日、4日、11日、11月1日、22日。



 担当 山羽さん 電話 0422−55−8135

  

 能楽師 青木一郎、青木健一

 武蔵野市 吉祥寺東町 2−24−21

 電話 0422 22 6876