乳香と没薬
新旧両約聖書には乳香と没薬というものがちらほら登場する。ヨセフとマリアの間にヨシュア(イエス・キリスト)が生まれた際、東方の三博士が持参したものも黄金の他にこの乳香と没薬であった。
どちらも香りがかぐわしく珍重されたもの。没薬は「もつやく」と読む。別名、現地の言葉では「ミルラ(Myrrh)」と呼ばれる。東洋では中国で没薬と呼ばれた。唐の時代あたりから、主に傷薬あるいは活血薬として用いられてきた。油性、ゴム質の樹脂で、数千年の間、「東洋の宝」とされた。
フウロソウ目カンラン科コンミフォラ属(ミルラノキ属)の樹木から分泌される樹脂。この樹木の分布地域は、インドから南アラビア、東アフリカなど。特にアラビア半島とソマリア、イエメンに多い。また、マダガスカルにもわずかだがある。樹液が空気に触れると赤褐色の涙滴状になって固まり、表面に細かい粉を吹いたようになる。ギリシア神話においては、ミルラノキ(学名:Commiphora moimoi)はアドニスの母、キプロスの王女ミュラが変身させられた姿であるとされている。彼女が流す涙が没薬である。ヘブライ語で書かれた旧約聖書、ギリシャ語から始まった新約聖書、新旧両約、どちらの聖書にも登場する。
古代エジプトの女性は、これを抗菌、防腐の薬として用いた。また、屋内でミルラの粒を燃やしてノミを駆除したりにも用いられた。ミイラの防腐剤にこれを使ったことは有名。
現在、三鷹市大沢にある中近東文化センターにて、乳香や没薬を直接見て、体験できる催しがなされている。購入もできるし、昔のように火をつけた煙を嗅ぐこともできる。参加費は無料。13時から毎日行われている。その他、以下のようなあれこれ盛りだくさんの内容。
大人向け体験講座・講演会
7月29日(火)「シルクマフラー染体験」関本綾子(アトリエ銀木星)
どんぐり染 10:30〜12:30
茜染 14:00〜16:00 各定員8名 参加費3500円
9月14日(日)前半「古代中近東のワインを探る」石田恵子(古代オリエント博物館)
後半「ワイン基礎講座」
東岳彦((株)シャトレーゼ・ベルフォーレ・ワイナリー)
14:00〜16:00 定員40名 参加費1000円
9月28日(日)「中近東の香料体験」井上瑞子(ルバーン)
14:00〜15:30 定員40名 参加費1000円
10月4日(土)「アラブ料理教室」井上瑞子(ルバーン)(受付終了)
14:00〜15:30 定員10名 参加費2000円
10月5日(日)「古代エジプトの香り」村治笙子(古代オリエント博物館)
14:00〜15:30 定員100名 参加費1000円
10月26日(日)「古代エジプトのビール」高宮いづみ(近畿大学)
14:00〜15:30 定員40名 参加費1000円
* 事前申し込み必要。定員になりしだい受付終了。
毎日のイベント
衣装体験・撮影コーナー 8月31日まで 参加費:1名(1着)200円
アラブ首長国連邦、イラン、シリアの衣装を着て、写真撮影。
大人・子供、男性・女性用を準備。
中近東の香り体験 参加費:無料 時間:13時〜
いろいろなお香(乳香、没薬、バフールなど)を展示室や中庭で楽しみます。
アラビック・コーヒー体験 火・土曜日 時間:15時 参加費:100円
アラビアで飲まれている本物のコーヒーを飲みながら、ナツメヤシを食べる。(10杯限定、1名1杯)。
ペルシアのハーブ・ティー体験 水・金・日曜日 時間:15時 参加費:100円
イランで飲まれているハーブ・ティーを飲みながら、ナツメヤシを食べる(10杯限定、1名1杯)。
◆中近東文化センター附属博物館
開館時間 10時〜17時(入館は16時30分まで)
休館日 月・木曜日(祝日は開館:振替休日なし)
年末年始
入館料 一般 800円 高大学生 500円 65才以上400円
中学生以下は無料
三鷹市・武蔵野市市民 100円(中学生以下は無料)
団体15名以上 200円割引
財団法人中近東文化センター
附属三笠宮記念図書館
附属アナトリア考古学研究所
〒181-0015 東京都三鷹市大沢3-10-31
Tel 0422-32-7111
Fax 0422-31-9453