外環道 小美濃一族の稲荷通り

67eb7a98.JPG ただ今、東京都議会議員選挙のまっ最中。明後日が投票日に当たる。ここ議席数1の小選挙区になっている武蔵野市は、事実上、1期目の民主党・松下玲子と前職の自民党・小美濃安弘の争い。前回、まさかの落選になった小美濃安弘。「オミノ安弘」とポスターなどには表記されている。



 「小美濃」は武蔵野市に古くから長く暮らす大地主一族。縁戚関係に当たる「小美野」という人たちもいるが、「小美濃」が本家。ちょうど、吉祥寺東町と杉並区・西荻窪の境界線に当たるところから南へ延びる「稲荷通」。この通りの両側に小美濃一族の家屋などはずらっと並んでいる。「株式会社小美濃・本社」も「小美濃造園」などもここにある。「稲荷通り」という名は、松籟公園の角に稲荷神社があるから。この稲荷神社の隣はこれも小美濃が経営する喫茶店、「ウッドストック」。



 この稲荷通りの真下を外環道東京外郭環状道路)が通ることになっていて、小美濃一族はその建設に最も大きな利害関係を持つ人たちということになる。



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 以前から何度となく書いているが、外環道の建設は悪い冗談そのものである。与謝野薫財務相も凍結したはずの公共事業の中で認可して開始されることになったものの中で、完全に廃止したはずの「従来型の公共事業」として復活されてしまったものは、東京では外環道建設だけである、と強烈な皮肉で石原慎太郎を牽制した。実際、この外環道は建設会社らを潤し、利益を還元するための公共事業として成り立っている。すでに圏央道は完成してしまっており、また、山手通りの真下にも地下の高速道路が完成直前になっている。その中間点に外環道を作らねばならない理由は需要計算から見る限りありえない。



 杉並区を地盤にしているのが石原都知事の息子、石原伸晃。また、外環道が環八と接続して、東名高速インターチェンジに接続されることで大きな利害が発生する地域が、石原の息子、石原宏高が選挙区にしている大田区など東京都南部の環八周辺地域。外環道は石原慎太郎の二人の息子に巨大な追い風となる公共事業である。



 小美濃安弘も外環道積極推進派として公約に掲げており、すでに自宅前の土地などは市の公園などとして整備。稲荷通りの角地も3層の「吉祥寺ガーデンコート」としてマンション化させ、外環道建設の建設条件になる大通りの真上、隣接緑地帯などを確保できるように先行整備されている。



 地下化建設に切り替えたため、外環道、練馬・大泉ー世田谷・瀬田線、わずかに16kmほどの建設費は1兆6000億円前後、2025年前後の完成と言われているが、実際は建設費3兆円を軽く超え、2030年くらいにまで工期がかかると私は予測している。



 なぜなら、建設工学、建設マネージメントのイロハから考えても、この地下水、伏流水の潤沢な地域に地下鉄ではなく、地下高速道路を建設するという計画にはあまりにも無理が多すぎるからである。練馬の三宝寺池石神井公園石神井川千川上水、杉並の善福寺公園神田川、武蔵野・三鷹井の頭公園玉川上水、野川、世田谷の多摩川に至るまで、関東平野の海抜50m地帯はあまりに地下水が大量に湧き出す地域。ここに地下道路を建設し、排気ガス排出煙突や事故時の避難口、インターチェンジやバイパスを建設するという設計はまともな判断ではない。



 かつてJR大崎駅から大井町駅を経由して臨海部へ抜ける「りんかい線」を建設する際にも建設中期から後期に大量の伏流水が発生。後期が数年延長された。今回は住宅密集地でもあり、地盤沈下と地盤上昇が頻発することが予想され、その対策で問題になるはずである。



 すでに外環道の千葉県側は広く整備、建設が進んでいるが、この過程で地元の暴力団組織が土地を不法に買い占めたり、占拠し、その対策に極めて不当な税金が支出されて高額な買い取りを余儀なくされた事案がいくつもニュースになった。巨大な利権が動く公共事業の中でもこれは特に評判が悪い。



 外環道建設は極めて問題が深く、また多すぎる公共事業。これを積極推進しようとしている候補者は、都議会議員には全く不適切な人物であろうと思う。