外環道の路線設定

e772345b.bmp 練馬・大泉ー世田谷・瀬田にまで16km、地下トンネル方式で延長させる計画の外郭環状道路(外環道)。この路線設定は非常に奇妙になっている。本来、関越自動車道路と外環道が接続する大泉インターから最短距離でまっすぐ自然に道を延ばせば、ちょうど都立井草高校の前、JR西荻窪駅あたりを通って世田谷方面に伸びるはずである。1m建設するのに1億円以上がかかる地下トンネル高速道路。迂回している余裕はない。



 ところが、以前にも書いたことがあるが、この外環道のルートは大泉からわざわざ石神井公園池を突っ切って西武新宿線上石神井駅の横へ。善福寺池の真下を通り、そのまま武蔵野市へ入って、吉祥女子中・高の脇にある「稲荷通り」の真下を通っていくルートになっている。敢えて池や川、地理的な急勾配が続く上石神井駅の方へ遠回りし、「稲荷通り」の真下を通す路線設定の理由がわからない。「稲荷通り」両側に不動産を多く持っている大地主一族、小美濃家はこれによって公共事業による金銭補償が最大限に受けられるため、有利になることはだれの目にもわかることである。



 http://blog.livedoor.jp/mediaterrace/archives/26994659.html



 小美濃安弘の先代は小美濃基二(おみの・もとじ)。吉祥寺北町成蹊大学政経)を卒業し、武蔵野製氷(株)と(株)小美濃本社の社長をしながら、武蔵野市議会議員7期28年務めた地元の有力者であった。葬儀委員長は同じく武蔵野市を地元にしていた有力都議、井口秀男が担当していた。井口秀男についても武蔵野市では彼の土地近くに通称、「井口道路」と言われる道路を整備し、開発利益が図られたことがある。井口氏や小美濃氏が地元政治家としてどのような働きを行ったのかは不明だが、いずれにせよ莫大な税金を投入する公共事業の道路建設ルート設定に関して、あまりに見え透いた現実がある。



 それでもなお強引に外環道を整備するというならば、本来、中央道や東名道、第三京浜などとの接続性を考えれば、大泉インターからそのまままっすぐ谷原交差点方向に向かって伸びている関越道の始点をそのまま地下へ潜らせて谷原交差点のすぐ北か、直下か、やや南でそのまま環八(環状八号線)の真下を掘り抜いてトンネルにし、中央道・高井戸、東名道・瀬田に至るまで延長すればそれで良かったはずである。大きな貯水量を持つ池や沼を避けながら工事を進めることができる上に、環八の既存高速道路インターチェンジ近くの道路脇は公園など緑地帯にもなっており、地理的に余裕もある。



 一直線に結ばねばならないはずの高コスト地下トンネル高速道のルートが不自然に西へ曲げられて、地下水や池、上水道などが多数存在する住宅密集地を敢えて突っ切っていく設定になっているのは明らかにおかしい。この点、建設推進派の自民党都議、国会議員は説明する必要と義務がある。前武蔵野市長だった土屋正忠小泉チルドレンで国会議員になってからは一言も外環道整備反対を言わなくなった。彼は最初から建設反対の考えなど微塵も持っていなかったが、立場上、反対の姿勢をパフォーマンスのポーズでとっていただけにすぎない。



 外環道は現在の大泉インターよりも少しだけ南下させ、ちょうど石神井公園池、三宝寺池の直前を横切る富士街道とぶつかるところまで伸ばすのが地下水を考えれば精一杯であろう。ちょうどここには日銀の保有する巨大なグランドやいくつかの野球場などもある。インターチェンジを造るならばそこをつぶして作ればよい。それ以上、南へ地下トンネル高速道を延長させることは、現実的に見てあまりに無謀であり、不可能である。