[]伊勢丹吉祥寺店

3679c5e1.jpg 吉祥寺駅北口、伊勢丹百貨店吉祥寺店(武蔵野市吉祥寺本町1)が入っているビルは武蔵野市開発公社が保有している。先に伊勢丹が来年3月で閉店を発表し、その後どのように活用するかを検討していたが、後継テナントは三菱商事都市開発となりここが開発を行う。新館にあたる隣のFFビルはそのまま継続営業する予定になっている。新年度から工事に入り、後継テナントのオープンは来年内が予定されている。「F&Fショッピングセンター」と7階「武蔵野市立吉祥寺美術館」は工事中もそのまま営業。



 元々、この伊勢丹が入居するビルは、ちょうど時を同じくして解体新規建設工事が始まる京王井の頭線と接続するユザワヤ吉祥寺店ビル工事があるため、ユザワヤからこれが完成して再入居できるようになるまで5年間限定で入居させてくれないかと提案が合ったのだが、こともあろうに武蔵野市と開発公社はこれを断り伊勢丹撤退後すぐに開発を始めることにしたのであった。



 この大規模改装開発に関して、プレゼンテーションのコンペを勝ち抜いたのが三菱商事都市開発だったが、「トレンド感」「グレード感」のある品揃えが必要だというと「総合的視点」で決められている。都市型複合商業施設で、



 「吉祥寺スタイル・コミュニティー



 という概念。「地元の人に愛される吉祥寺ライフスタイル」をめざし、街全体の活気づくりに貢献し「まちの核」となる施設を目指すとされている。



 「武蔵野ライフを楽しむファミリーを軸にした多様な世代」

 「親しみ」「にぎわい」「楽しさ」

 「『こだわり度』『おしゃれ度』が向上するような高品質で、吉祥寺のイメージアップとなるトレンドを提案する」



 と市長の邑上守正は説明する。彼は元々早稲田大で建築学を学んだ一級建築士であり、建築プランナーなどとしても経験を持っている。



 「デイリーライフ」 食品や生活雑貨

 「ファッション」  カジュアルを軸としたファッションやバラエティー感のある雑貨

 「ママ・キッズ」  子育て世代の母親や父親、子どもを対象

 「ライフスタイル」 カルチャーやホビー



 吉祥寺駅と駅ビルロンロンの全面改装、京王吉祥寺駅ビル(旧ターミナルエコー)の改築工事と併せ、この開発整備を「新たな時代に向けた準備」とし、「これからも進化する吉祥寺に期待してほしい」と言う。



 しかし、これら全て大人気、「ユザワヤ吉祥寺店」を凌ぐ魅力を持つテナントとして力を発揮できるだろうか。その希望はゼロである。ユザワヤが5年限定で入居させてくれと申し出ていたのであるから現在の伊勢丹ビルはそう急いでいじらねばならない建物ではない。5年間、確実に集客できるユザワヤに入居してもらって改装はユザワヤが元に戻ってからやればよいことではなかったろうか。ユザワヤの入居を断るということはユザワヤという大きな集客力を持ち、需要も高いテナントを5年間の間、失うということを意味する。丸井百貨店に2フロアだけ大幅縮小して仮住まいして5年間をやり過ごす予定になっているユザワヤ。非常にもったいないチャンスだった。



 超がつく不況期、伊勢丹ビルは慢性的に集客が伸びず、売り上げ不振に悩んだ立地にある。ユザワヤ起爆剤にすれば良かったと思うのだが、ありふれたテナントが入居したとしてもあまり効果はありそうにない。