[]劇団「前進座」 80周年公演 (国立劇場)

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 井の頭通りに面し、吉祥寺南町コミセンの隣にある劇団「前進座」が、創立80周年記念公演を5月12〜24日、東京・三宅坂国立劇場大劇場で行う。演目は「唐茄子屋(とうなすや)」「口上」「秋葉権現廻船噺(あきはごんげんかいせんばなし)」。前進座の代表、中村梅之助(81)、ベテラン俳優のいまむらいづみ(78)らも挨拶を行う。



 前進座は1931年5月、四代目河原崎長十郎、三代目中村翫右衛門、五代目河原崎国太郎ら若手の歌舞伎俳優が、歌舞伎界の改革を唱えて創立した。梅之助は



 「歌舞伎界に封建的な身分制度が残っていた時代、父(翫右衛門)らは、待遇改善を求めたが受け入れられず、旗揚げした。新しい芝居をやりたいとの意欲に燃えていた。」



 いづみは



 「第一世代はまだ若く、芸熱心だった。昼はけいこ場で裸になって立ち回りの練習をし、発声法は腹から声が出ていないと翫右衛門が鞭(むち)で床を打った。」



 という。



 33年、映画「段七しぐれ」に劇団で出たのを皮切りに、山中貞雄監督「人情紙風船」、溝口健二監督「元禄忠臣蔵」など多数の映画に出演、戦前戦中の日本映画黄金期に貢献した。梅之助によれば、『人情紙風船』は旗揚げ6年で演じたのに、技術が高かったという。映画への出演料で当時はまだ格安だった郊外の吉祥寺に土地を買い、稽古場、集合住宅を造った。いづみは集団生活があったからこそ80年も続いたのではないかと話している。



 戦後は、46年の「レ・ミゼラブル」から青年劇場運動を始め、全国津々浦々の学校で公演。都市でも歌舞伎、時代劇、現代劇、児童劇と幅広い演目を上演し、「演劇のデパート」と呼ばれたこともある。



 70年からテレビドラマ「遠山の金さん」に梅之助が主演。知名度が上がりお茶の間に人気が広がった。梅之助は



 「80年もよく続いた。第一世代に僕らが育てられて、幅広い観客を獲得するよう努力してきた。本当によく働いた。」



 と振り返る。



 記念公演は劇団ゆかりの演目。「唐茄子屋」は落語の人情噺を基に、前進座が58年に舞台化した世話物。日本橋の大店(おおだな)の息子徳三郎(嵐芳三郎=よしさぶろう)は道楽の末に勘当される。伯父(村田吉次郎)やその妻(いづみ)は徳三郎の将来を案じ、唐茄子売りを命じる……。昨年襲名した芳三郎が、祖父の五代目芳三郎が初演し、父の六代目が継いだ役を演じる。



 いづみは



 「放蕩(ほうとう)息子が初めて外の世界を見て、長屋連中の優しい心に触れる。人情のやりとりが見どころです」。



 「秋葉権現」は明治以降、上演が絶えていたが、34年に前進座が復活させた。劇団創立期の息吹を伝える時代物だ。嵐圭史藤川矢之輔河原崎国太郎、梅之助らが出演。



 梅之助は今後の課題として若手を第一世代の水準まで引き上げることを挙げている。脇役、悪役まで観客に愛されるうまい役者を作ることを目指すという。



 チケットは11000〜12500円。

 電話0422・49・2811(劇団)



これについて、22日・金曜 22:00  NHK教育テレビ  にっぽんの芸能

 「花鳥風月堂檀れい・歌舞伎・勧進帳の魅力

 「芸能百花繚乱」前進座・80年の軌跡



 で放映予定。



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